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2013年を送る [東アジア・現代]

2013年が暮れてゆきます。振り返ればこの一年、東アジアの国々は国家主義と新自由主義によってますます侵食され、政府間の相互不信と反目は深まる一方でした。そうした国家間の緊張が高まる中で犠牲を強いられつつあるのが、沖縄をはじめとする東アジアの民衆です。

あたかも怪しげな黒雲が東アジアの空を覆い尽くしていったかのような一年でしたが、他方で未来への希望の火もあちこちで光を放ちました。沖縄の反基地・反オスプレイ闘争の底力は支配層の裏取引を必ずや吹き飛ばすでしょう。年末の日本全国で燃え上がった秘密保護法案反対運動は、この国の民主主義の可能性がまだ失われていないことを示しています。年末のソウルに十万の民衆が集結し政権を震撼させたゼネストは、弾圧下での韓国の労働運動、民主主義運動の健在ぶりを示しました。そして中国では、最底辺の農民工を含めて、権利を自覚し始めた民衆の声があちこちに上がり始めています。

国家権力の間に戦われている派手で陰険なパワーゲームに目を晦まされてはならないでしょう。その背後で鈍い光を放ちはじめた東アジアの民衆たちの動きこそ、新しい年を覆う暗い予感を必ずや打ち破り、未来への希望をつないでゆくはずだと、私は信じます。

新たな年、世界の希望の火が力強く燃え上がることを願うとともに、みなさまの平安を心からお祈りいたします。
タグ:東アジア

湖北省での小・中学校教員のストライキ [中国・労働問題]

今月25日、湖北省羅田県の小・中学校の教員数百名が、増給を求めてストライキを行いました。

25日午前10時過ぎ、羅田県にある数か所の小・中学校教員が相次いで授業を停止し、陸続と県の運動広場に集合し、「教師の給料はなぜかくも低いのか」「合法的な賃金がなぜ執行されないのか」等の横断幕を掲げてデモを実施、まもなく県内全域の教員が応援に駆け付け、五、六百名の教員がストライキに参加しました。

2009年に就職したある教員によれば、自分の月給は成果給も合わせてわずか1700元余り(日本円で3万円程度)で、県が支給することになっている毎月500元の補助手当も流用されてしまい、二万元近くが収奪されている、とのこと。

スト勃発後、「党」の羅田県委および県政府の幹部が現場に到着、午後4時半に教員は全員それぞれの学校に戻りました。「党」および政府の担当者は教員代表と交渉し、待遇の引き上げが合意されたということです。

同じ湖北省では、5月にも洪湖市で千余名の教員による増給を求めるストライキが起きています。中国の農村における小中学校教員の待遇はきわめて低く、さらに地方政府の不明朗な会計への不満が重なり、教員たちの怒りが爆発したものだと思われます。

なお、この件に対する中国のネット世論の大部分は教員のストライキを熱烈に支持しています。この点は、学校教員や教員組合に対する異様な憎悪に満ちている日本のネット世論と大きく異なるところでしょう。

http://www.fj.xinhuanet.com/news/2013-12/28/c_118749334.htm

中国の「農民工」の現在(2)――「討薪」 [中国・労働問題]

農村戸籍のまま都市で働き、ほとんどあらゆる社会保障から排除されている農民工。毎年年末になると、農民工の「討薪」(未払い賃金に対する要求運動)が激発します。この年の瀬もまた、全国各地で起きている「討薪」が数多く報道されています。年末にメディアで取り上げられた数多くの「討薪」事件のうち、ごく一部だけを紹介します。

・遼寧省瀋陽市于洪区で、土地開発業者と労務供給会社に対し、173名の農民工が未払い賃金の支払いを要求し続けている。彼らは、氷点下十数度の寒空の下、窓のない未完成の建物の中で、薄い毛布にくるまってわずかな暖を取るという生活を二か月も続けている。開発業者はすでに労務供給会社に対して人件費分の金額を支払っているものの、労務供給会社が労働者にまだ給料を出していないのだという。
http://www.chinanews.com/sh/2013/12-30/5675653.shtml

・山東省萊蕪市の鉄鉱山で働いていた陝西省出身の農民工70数名が、未払い賃金計200万元の支払いを会社に要求したものの、らちが明かないため、市の当局に救済を訴えた。ところが公安は逆に労働者を50日の拘留処分にした。→この事件はネットで流されて世論の憤激を呼び、公式メディアも批判的に報道したため、公安職員らの不正に対して調査が始まり、先週になって会社側はようやく未払い賃金の支払いに合意した。
http://news.iqilu.com/shandong/yuanchuang/2013/1228/1805663.shtml

・江蘇省連雲港市で鉄筋組立工たちが不払い分の給料を要求したものの、会社側がひそかに雇ったとみられる暴力団から暴行を受け、入院した。
http://tv.cntv.cn/video/C10616/fbdb8a579fb24101ba75f420fc1ef149

・北京市の調査によれば、今年の北京市における農民工に対する賃金未払い事件は5004件、約3万5千名の農民工が総計2億8千6百万元の賃金の支払いを要求している、という。
http://epaper.jinghua.cn/html/2013-12/25/content_51133.htm

こうした農民工の「討薪」について、ネット上では農民工の窮状に対する同情と、彼らの人権の抑圧が放置されている現状に対する怒りが充満しています。寒空の下放置されている彼らが暖かい正月を迎えられるよう、願わずにはいられません。

夜の街角に立つ「冰糖葫蘆」売り――厳寒の長春 [中国東北・雑記]

シベリアから寒気が襲来し、日中も氷点下15度の厳寒が続く長春。
それでも、ふきすさぶ寒風に震えながら街角に立つ物売りの姿が絶えることはありません。

写真は、中国北方の冬の風物詩「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー)を売る男性。近くの網吧(ネットカフェ)に出入りする若者たちが目当てです。
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この寒気は海を渡って、年末の日本列島各地に大雪をもたらしていると聞きます。みなさまどうぞ暖かくしてお過ごしください。
タグ:中国 長春

安倍首相の靖国参拝と中国メディア [日中関係]

ちょうど今、中国のテレビニュースのトップで、安倍晋三首相の靖国参拝の報道が流れている。

「まさか」と「やはり」。二つの言葉が口に出る。

国家安全保障会議(NSC)設置、秘密保護法成立、新防衛大綱・中期防決定、武器輸出三原則の踏み越え・・・今月に入って安倍政権が立て続けに行った強権的政策の一つひとつが、中国でも報道されている。そのたび繰り返し、安倍政権の好戦的な性格とその危険性に対して注意が喚起されている。

そして極め付けが、今回の靖国参拝だ。自民党の閣僚さえ、参拝を強行しようとする安倍に慎重を求めたというが、当然だ。東アジアの海はいっそう波風が荒立つだろう。

安倍首相の靖国参拝には、日本の右翼勢力だけでなく、中国の軍部の強硬派も小躍りしているにちがいない。日本の軍国主義化が証明された、我々もすべからくこれに対抗し相応の措置を取らねばない、と。

東アジアの政治指導者たちの弄ぶパワーゲームは、ますます危険さを増している。各国とも非生産的な軍事に血税を注ぎ込む一方、民生はないがしろにされている。支配層の火遊びの犠牲になるのは結局、民衆だ。

辺野古に軍港機能 沖縄防衛局の埋め立て申請書が明らかに(琉球新報 12/21) [沖縄・琉球]

沖縄防衛局はこれまで、環境影響評価(アセスメント)の手続きの中で、辺野古に建設を計画する普天間の代替基地が「軍港」機能を持つことを否定してきました。ところがその説明の虚偽がこのたび明らかになりました。沖縄防衛局の埋め立て申請書に記載された代替基地の諸施設の規模が、今まで県に示してきた計画よりも拡大していたことが、昨日になって判明したのです(『琉球新報』12/21朝刊)。

まず、艦船の接岸する護岸の全長が、約200メートルから272メートルへ延長されました。オスプレイ12機や海軍エアクッション型揚陸艇(LCAC)が搭載可能な、米海軍強襲揚陸艦ボノム・リシャール(全長257メートル、4万500トン、最大航続距離9500マイル(1万5288キロメートル)以上)の立ち寄りが可能になる長さです。さらに、同揚陸艇LCACの水陸両用訓練が可能となる斜路(しゃろ)の存在も新たに図示されました。上陸侵攻作戦を行う「殴り込み部隊」を支援する拠点が、ここに造られてしまいます。

こうした重大な計画変更を市民に隠し続けた日本政府の欺瞞的なやり口は、国民としてもはや民主主義国家と呼ぶことも恥ずかしい。民主主義を根本から否定する政府の行為を、本土のマスコミはまだ報道していないようです。こんなことを黙認するとすればそれはジャーナリズムの死を意味するでしょう。

辺野古移設計画の行方は大詰めを迎えています。「普天間飛行場の5年以内の運用停止」など仲井真知事の「基地負担軽減」策の要望に対し、安倍政権は「最大限努力する」などと、またしても空虚な回答をしました。その一方で、米国防総省のウォレン報道部長は普天間の5年以内運用停止について「約束できない」と突き放しました。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-216933-storytopic-3.html

このような状況で辺野古移設が強行されれば、「基地負担軽減」どころか、米軍の世界戦略の中に沖縄はいっそうがんじがらめに組み込まれ、軍事要塞化が進むことになるでしょう。米・中・日の軍事的な角逐が深刻化しつつあるなかで、沖縄はいっそう危険な位置に立たされます。

沖縄をまたもや「捨て石」にしようとしている日本政府のやり口を、国民は黙認するのか?この国の民主主義の真価が今、問われています。

「満洲国」の爪痕(4)関東軍司令部――最高権力の表徴 [満洲国]

長春市の中心部に鎮座するこの建物を前にすると、いったい自分が今どこに立っているのか分からなくなるような戸惑いを覚えます。中国の風土とは全く異質なこの巨大な建物は、傀儡(かいらい)国家「満洲国」の権力の源泉であった日本の軍事力の根拠地、関東軍司令部として1934年に竣工しました。
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【2013年12月撮影】

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【1935年の関東軍司令部(wikipediaより http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Kwantung_Army_Headquarters.JPG )】

関東軍の起源は、日露戦争に勝利した日本が、遼東半島南部の「関東州」(旅順、大連など)の租借権と、長春―旅順間の鉄道(後の満鉄)および付属地の権益をロシアから譲渡され、これらを統治する行政・軍事機構として1905年、天皇直属の「関東総督府」を遼陽(遼寧省)に設置し、軍隊を配備したことにあります。総督府は翌年、「関東都督府」に改組して旅順に移転、その守備隊である「関東都督府陸軍部」がこの地の日本権益の防衛にあたりました。

1919年、関東都督府はさらに改組して「関東庁」となり、同時に軍事部門が分離して「関東軍」が成立しました。関東軍は単にこの地の日本権益を防衛するにとどまらず、権益の拡大を目指して中国の国民革命に干渉したり、ソヴィエト・ロシアに対抗する戦略を策定したりするなど、しだいに独善性を強めてゆきます。1928年、関東軍は奉天軍閥の巨頭で中華民国軍政府大元帥の張作霖を爆殺するという謀略事件を起こしました。

さらに関東軍は武力による満洲の領有を計画しそのための謀略を立案、軍中央の容認のもとで1931年9月18日、奉天郊外の満鉄の線路上で爆薬を爆発させました(柳条湖事件)。関東軍はこの爆発を中国側による犯行と偽り、これを口実に中国軍に対して奇襲攻撃を行い、一挙に満鉄沿線を武力制圧しました。さらに独走する関東軍は戦線を拡大、数か月で満洲の全主要都市を占領し、この武力を背景に32年3月、傀儡国家「満洲国」を成立させたのです。

その直後、長春は満洲国の首都に定められて「新京」と改称、巨大な都市計画に基づいて様々な国家機関の建物が仰々しく造られてゆきます。1934年8月、新京の中心部に完成した地上四階・地下一階、日本の城郭の天守閣のような意匠の「帝冠」を戴くこの巨大な建物に、関東軍司令部は本拠を定めました。

この建物の主である関東軍司令官は関東長官(行政)と駐満洲国日本全権大使を兼ねていました。関東軍司令部は強大な武力を背景に、満洲国における事実上の最高権力機関として、抵抗者を容赦なく殺戮しながら、日本の満洲経営の全権を握り続けたのです。

1945年8月、日本の敗戦とともに満洲国は崩壊し、関東軍司令部の建物はソ連赤軍の東北地区総司令部となりました。ソ連撤退後の1946年、新たに長春に進駐してきた中華民国国民革命軍がここに本拠を置き、1948年の「解放」後は中国人民解放軍がこの建物を使用しました。そしてこの建物は1955年、この地域の最高権力機関である中国共産党吉林省委員会の本拠となって、今日に至ります。

この建物が完成してからまもなく八十年。建物の主は二転三転したものの、この土地に君臨する政治権力の在り処を明示するというこの建物の本質的機能は一貫しており、今日もその威光を放ち続けています。

中国の〈農民工〉の現在 (1) [中国・労働問題]

〈農民工〉――戸籍上は農民でありながら産業労働者として働いている人びと、とりわけ、故郷の農村を離れて都市で出稼ぎ労働を行っている(あるいは挙家離村して都市に定住している)労働者のことを、中国ではそう呼んでいます。

2012年の統計によれば、離村した農民工の総数は1億6千3百万人余り、年増加率は3.0%。一家を挙げて離村した農民工は約3千4百万人です。彼らは建設・土木などの重筋労働力として、あるいはさまざまな工業・サービス業における低賃金労働力として、中国社会を底辺から支えています。

農民工は都市戸籍を持たないため、ほとんどあらゆる社会保障から排除され、医療や子供の教育においてもさまざまな差別を受けています。先月開かれた中国共産党三中全会でも、農民工差別の根源である戸籍制度の改革方針が掲げられましたが、具体的にどのように状況が改善されるのか、まだわかりません。

農民工によって支えられているのは、中国の市民生活ばかりではありません。ユニクロなどの衣料品はもちろん、電子機器、雑貨など、日本の人たちが日々使っている製品の多くは、農民工の苦汗労働によって作られたものばかりです。日本の経済、市民生活、そして日本の労働問題もまた、中国における農民工などの労働問題と実は密接につながっていることを、忘れてはならないと思います。

広東省中山市の現金輸送労働者のストライキ [中国・労働問題]

中国ではほぼ毎日、労働者のストライキや争議がどこかで起きていますが、そのほとんどは公式メディアで報道されることはありません。今月3日から4日にかけて、広東省中山市の現金輸送労働者のストライキは、市民生活に大きな影響を与えたせいか、めずらしく多くの新聞に掲載された争議の一つです。

報道によれば、今月3日午前、広東省中山市の保安服務総公司の現金輸送部門の労働者約500人が、ストライキを行いました。スト労働者の不満は、会社の劣悪な待遇に対するものです。

ある労働者は、一か月26日間の出勤で、毎日の勤務は八時間を超えるのに、給料はわずか2千元余り(日本円で3万数千円)しかない、とこぼしました。残業手当もなく、新年休暇を取ると給料から100~200元(1600~3200円)差し引かれ、五分遅刻すると300元(4800円)の罰金を取られてしまう、と。ある労働者は三日の休暇を取ったために800元余り(1万3千円ほど)を給料から差し引かれてしまいました。さらに、今月から始まった会社の緊縮計画によって、従業員の福利厚生が大幅にカットされました。こうした状況の改善を、労働者は会社側に対して何度も訴えてきましたが、会社からは何の応答もありませんでした。そうした不満の爆発が、今回のストライキとなったのです。

このストライキによって、市内の各銀行への現金輸送がストップし、銀行は業務の停止を余儀なくされました。3日の正午になって、警察・行政および「党」が争議に介入し、銀行は警察と協力して、営業再開のために現金輸送手段を整えました。

結局、翌日労使間に和解が成立し、月給510元余り(8千数百円)のアップと、休暇取得の際の給料からの差し引きは労働法に準拠して行うこと、などの約束を労働者側は勝ち取って、ストライキは終了しました。

このように中国で新聞報道されるストライキは、氷山の一角にすぎません。ネット情報によれば、12月3日から10日までの1週間で、現金輸送労働者のほかにも少なくとも12件のストライキなど労働争議が起きています。

3日 湖南省吉首市のタクシー運転手スト、江西省瑞昌市タクシー運転手スト。
4日 広東省東莞市大洋硅胶制品会社で数百人がスト、広東省深圳の日立海量工場で1000余人がスト、河南省周口市のバス運転手スト。
5日 河南省洛陽市のウォルマートの労働者のストと示威行進。山東省青島市の海晶化工工場でスト。
6日 広東省東莞市鑫達玩具礼品会社でスト。
7日 安徽省淮北市のバス会社で運転手がスト。
8日 福建省泉州市のフィットネスクラブの従業員がスト。
9日 浙江省麗水市の倒産した皮革工場の労働者による争議。
10日 湖南省長沙市の中連重科でスト。

中国では労働者に自由な団結権がなく(「党」の「指導」下に置かれた官製組合のみ)、ストライキ権も保障されていません。にもかかわらず各地で連日起きている労働争議は、経済成長とともに中国の労働者が自分の権利を自覚しはじめたことを物語っているでしょう。

http://news.sina.com.cn/c/2013-12-04/062628880982.shtml
http://www.cmen.cc/2013/special_1204/231790.html
http://news.sina.com.cn/c/2013-12-05/102028893000.shtml
http://news.nfdaily.cn/content/2013-12/05/content_86387974_7.htm

秘密保護法撤廃運動と中国メディア [日中関係]

安倍内閣の支持率の急落が、中国の中央テレビで繰り返し報道されています。安部内閣が世論の反対を無視して特定秘密保護法を強行成立させたことが背景にあると説明されています。同テレビは、約八割の日本国民が同法の廃止・修正を求めているという共同通信社の世論調査の結果に言及し、日比谷野音で開かれた日本市民の同法案反対集会も紹介しました。

中国メディアは秘密保護法について、好戦的な安倍政権による改憲の企みの一環として非難するとともに、日本の民衆が安倍政権の強権に対して強力な反対運動を展開していることにも、注意を促してきました。

こうした平和と民主主義を求める日本の民衆の動きを、中国の一般民衆は好意的に受け止めているようです。長春市内で先日タクシーに乗ったときに運転手から、安倍政権は憎らしいけれども、日本の老百姓(民衆)は朋友だ、と言われました。

安倍政権が推進しようとする軍事大国化政策に対して、日本の多くの市民がこれに反対する態度をはっきりと示すことが、国境を越えた民衆間の信頼関係を生み、東アジアの平和につながってゆくはずだと、私は信じています。

中国北方の冬の風物詩「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー) [中国東北・雑記]

中国北方の冬の風物詩、「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー)。真っ赤な山査子(さんざし)を串に刺し、凍らせた水飴でくるんだ、冬季限定の伝統的な菓子です。12世紀、南宋の光宗皇帝が妃の病を治すために食べさせたという伝説のある冰糖葫蘆は、庶民の間でも古くから親しまれてきました。現代でも中国北方の多くの人は、子どもの頃の甘酸っぱい思い出が冰糖葫蘆と結びついているそうです。

冰糖葫蘆づくりは農閑期の農民たちの大事な副業になっています。冬になると、長春の街角のあちこちに、寒風吹きすさぶ中、自転車で冰糖葫蘆を売り歩く行商人の姿が見られます。酸っぱさの中に甘味を感じるこの串の中には、今の中国に生きる民衆のさまざまな思いが詰まっているのでしょう。
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長春だより

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