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広東省中山市の現金輸送労働者のストライキ [中国・労働問題]

中国ではほぼ毎日、労働者のストライキや争議がどこかで起きていますが、そのほとんどは公式メディアで報道されることはありません。今月3日から4日にかけて、広東省中山市の現金輸送労働者のストライキは、市民生活に大きな影響を与えたせいか、めずらしく多くの新聞に掲載された争議の一つです。

報道によれば、今月3日午前、広東省中山市の保安服務総公司の現金輸送部門の労働者約500人が、ストライキを行いました。スト労働者の不満は、会社の劣悪な待遇に対するものです。

ある労働者は、一か月26日間の出勤で、毎日の勤務は八時間を超えるのに、給料はわずか2千元余り(日本円で3万数千円)しかない、とこぼしました。残業手当もなく、新年休暇を取ると給料から100~200元(1600~3200円)差し引かれ、五分遅刻すると300元(4800円)の罰金を取られてしまう、と。ある労働者は三日の休暇を取ったために800元余り(1万3千円ほど)を給料から差し引かれてしまいました。さらに、今月から始まった会社の緊縮計画によって、従業員の福利厚生が大幅にカットされました。こうした状況の改善を、労働者は会社側に対して何度も訴えてきましたが、会社からは何の応答もありませんでした。そうした不満の爆発が、今回のストライキとなったのです。

このストライキによって、市内の各銀行への現金輸送がストップし、銀行は業務の停止を余儀なくされました。3日の正午になって、警察・行政および「党」が争議に介入し、銀行は警察と協力して、営業再開のために現金輸送手段を整えました。

結局、翌日労使間に和解が成立し、月給510元余り(8千数百円)のアップと、休暇取得の際の給料からの差し引きは労働法に準拠して行うこと、などの約束を労働者側は勝ち取って、ストライキは終了しました。

このように中国で新聞報道されるストライキは、氷山の一角にすぎません。ネット情報によれば、12月3日から10日までの1週間で、現金輸送労働者のほかにも少なくとも12件のストライキなど労働争議が起きています。

3日 湖南省吉首市のタクシー運転手スト、江西省瑞昌市タクシー運転手スト。
4日 広東省東莞市大洋硅胶制品会社で数百人がスト、広東省深圳の日立海量工場で1000余人がスト、河南省周口市のバス運転手スト。
5日 河南省洛陽市のウォルマートの労働者のストと示威行進。山東省青島市の海晶化工工場でスト。
6日 広東省東莞市鑫達玩具礼品会社でスト。
7日 安徽省淮北市のバス会社で運転手がスト。
8日 福建省泉州市のフィットネスクラブの従業員がスト。
9日 浙江省麗水市の倒産した皮革工場の労働者による争議。
10日 湖南省長沙市の中連重科でスト。

中国では労働者に自由な団結権がなく(「党」の「指導」下に置かれた官製組合のみ)、ストライキ権も保障されていません。にもかかわらず各地で連日起きている労働争議は、経済成長とともに中国の労働者が自分の権利を自覚しはじめたことを物語っているでしょう。

http://news.sina.com.cn/c/2013-12-04/062628880982.shtml
http://www.cmen.cc/2013/special_1204/231790.html
http://news.sina.com.cn/c/2013-12-05/102028893000.shtml
http://news.nfdaily.cn/content/2013-12/05/content_86387974_7.htm

長春だより

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