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中国の〈農民工〉の現在 (1) [中国・労働問題]

〈農民工〉――戸籍上は農民でありながら産業労働者として働いている人びと、とりわけ、故郷の農村を離れて都市で出稼ぎ労働を行っている(あるいは挙家離村して都市に定住している)労働者のことを、中国ではそう呼んでいます。

2012年の統計によれば、離村した農民工の総数は1億6千3百万人余り、年増加率は3.0%。一家を挙げて離村した農民工は約3千4百万人です。彼らは建設・土木などの重筋労働力として、あるいはさまざまな工業・サービス業における低賃金労働力として、中国社会を底辺から支えています。

農民工は都市戸籍を持たないため、ほとんどあらゆる社会保障から排除され、医療や子供の教育においてもさまざまな差別を受けています。先月開かれた中国共産党三中全会でも、農民工差別の根源である戸籍制度の改革方針が掲げられましたが、具体的にどのように状況が改善されるのか、まだわかりません。

農民工によって支えられているのは、中国の市民生活ばかりではありません。ユニクロなどの衣料品はもちろん、電子機器、雑貨など、日本の人たちが日々使っている製品の多くは、農民工の苦汗労働によって作られたものばかりです。日本の経済、市民生活、そして日本の労働問題もまた、中国における農民工などの労働問題と実は密接につながっていることを、忘れてはならないと思います。

長春だより

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