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関東憲兵隊の史料群(1) 慰安婦関係史料1 [東アジア・近代史]

長春市にある吉林省公文書館所蔵の関東憲兵隊関係史料のうち、日本の大陸侵略に関係する89件の史料が公開され、史料集(《铁证如山:吉林省新发掘日本侵华档案研究》〔『鉄証如山―吉林省で新たに発掘された日本の中国侵略文書の研究』吉林出版集団、2014年4月〕)が出版されたことは、5月11日の本ブログ記事「長春で新たに公開された関東憲兵隊の史料群」において伝えたとおりです。うち、慰安婦関係の史料について、具体的に紹介したいと思います。

下に掲げる史料はいずれも、本書の解説によれば、昭和十三年(1938年)二月十九日付、華中派遣憲兵隊司令官大木繁による「南京憲兵隊轄区に関する調査報告(通牒)」(中国語解説からの翻訳につき、原文書の日本語正式名称は不明)です。本書117~122ページに掲載されているいくつかの史料(手書き)の写真を、文字に起こして紹介します。(読みやすさを考えて句読点・濁点を加えました。「……」は史料の破損部分、「■」は判読困難な文字を示します。)

【史料A】(本書117・118ページ)
「……慰安施設状況
………
……入リ、桑名旅団湖州ニ転ジ、駐兵ヲ減ジタルニ反シ特種慰安所一増置シタル外、特記事……
……
……
…………名(支那人十一名、朝鮮人二十九名)ニシテ、前旬■■■増加シアリテ、慰安所ハ何レモ兵站支部ノ斡旋■■■■■■■設ケ、第一ハ朝鮮人六名(接■〔客?〕率一人………第二ハ支那人十一名(平均六、七名)、第三ハ朝鮮人十五名(平均十四、五名)、第四■朝鮮人八名(平均七、八……
……
……事項ナシ
復興上ノ障碍ト之ガ対策所見
■洲地区
■■■支那人ヲ安住セシムルタメニ軍人ノ脅迫掠……挑発、強姦等ヲ防止スベク、軍紀風紀ヲ厳………」

「慰安所ハ何レモ兵站支部ノ斡旋」云々の箇所に注目。なお上記史料中、「平均~名」というのは、慰安婦一人につき単位時間当たりの「接客」人数を指すものではないかと思われます。

【史料B】(本書119ページ)
「各………ケル慰安設備状況次ノ如シ」とある史料には、「地名」・「■地兵員ノ概数」・「慰安女婦ノ数」・「慰安女婦一人ニ対スル兵員数」・「摘要」を掲げた表があります。例えば南京では、兵員数「二五、〇〇〇人」・慰安婦数「一四一人」・慰安婦一人当たり兵員数「一七八人」とあります。また鎮江では慰安婦数「一〇九」、その摘要欄には「本旬中、慰安所利用セル人員将兵五、七三四名アリ」と記されており、慰安婦一人当たりのべ五十名以上の将兵を相手にさせられたことがわかります。

【史料C】(本書121・122ページ)
「(前略)
軍ノ為ノ慰安施設状況
慰安施設ハ各軍駐屯地共、概ネ一通リノ配給ヲ完了シタル趣ニシテ、本旬管内ニ於テ新ニ設ケシモノハ」、という文の直後に、「場所」・「新設数」・「娼妓数」・「兵員」・「比率」の書かれた表が掲げられ、例えば龍萃鎮の慰安所については、新設数「二」・娼妓数「二八」、摘要欄に「支那女八 日本女二〇」と記されています。

長春だより

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