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長春のイスラム食堂 [中国東北・雑記]

昨日の昼は近所のイスラム食堂で食事しました。
写真の「紅焼牛肉麺」は一杯10元(日本円で170円)、ごく庶民的な値段です。
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吉林省のイスラム教徒人口は、2010年の公式統計では11万9千人ほど(全人口の0.4%余り)、その多くは回族(イスラム化した漢民族)です。長春市内には民族自治が実施されている区域「双営子回族郷」があり、民族学校もあります。

長春の街のあちこちにはイスラム食堂があり(「清真」という表示がある)、スーパーでもムスリム向けに調理された肉が売られています。大学の学食にもムスリム向けのコーナーがあります。
イスラム食堂はムスリム専用というわけではなく、私のようにイスラム教徒以外の客も多いと思います。豚肉やアルコールのメニューがないほか、壁にはアラビア文字で書かれたポスターなどが貼られ、時間帯によっては厨房からお祈りの声が聞こえてきます。
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夜の街角に立つ「冰糖葫蘆」売り――厳寒の長春 [中国東北・雑記]

シベリアから寒気が襲来し、日中も氷点下15度の厳寒が続く長春。
それでも、ふきすさぶ寒風に震えながら街角に立つ物売りの姿が絶えることはありません。

写真は、中国北方の冬の風物詩「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー)を売る男性。近くの網吧(ネットカフェ)に出入りする若者たちが目当てです。
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この寒気は海を渡って、年末の日本列島各地に大雪をもたらしていると聞きます。みなさまどうぞ暖かくしてお過ごしください。
タグ:中国 長春

中国北方の冬の風物詩「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー) [中国東北・雑記]

中国北方の冬の風物詩、「冰糖葫蘆」(ビンタンフールー)。真っ赤な山査子(さんざし)を串に刺し、凍らせた水飴でくるんだ、冬季限定の伝統的な菓子です。12世紀、南宋の光宗皇帝が妃の病を治すために食べさせたという伝説のある冰糖葫蘆は、庶民の間でも古くから親しまれてきました。現代でも中国北方の多くの人は、子どもの頃の甘酸っぱい思い出が冰糖葫蘆と結びついているそうです。

冰糖葫蘆づくりは農閑期の農民たちの大事な副業になっています。冬になると、長春の街角のあちこちに、寒風吹きすさぶ中、自転車で冰糖葫蘆を売り歩く行商人の姿が見られます。酸っぱさの中に甘味を感じるこの串の中には、今の中国に生きる民衆のさまざまな思いが詰まっているのでしょう。
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結氷した伊通河――ロシア極東まで続く氷の道 [中国東北・雑記]

日中でもマイナス10度の寒さが続く長春。市街を南北に貫く伊通河が凍結し始めました。

伊通河は満州語でyitu ula と言い、波濤逆巻く大河、という意味だそうです。この川は吉林省中部の哈達嶺に源を発し、北流して長春を経て松花江と合流、黒竜江省との境で流れを北東に変え、東北大平原を貫きハルビン、ジャムスを経てロシアとの国境でアムール川と合流します。

つまり長春はアムール川流域に属し、ここに降った雨は伊通河→松花江→アムール川と流れ、最終的にロシア・ハバロフスク地方のオホーツク海へと注ぎ込むわけです。想像するだけでも、そのスケールの大きさに圧倒されます。事実、アムール川は世界屈指の大河で、その流域面積は長江(揚子江)よりもさらに大きいのです。

鉄道網が発達する以前、東北大平原の物流の大動脈は河川交通でした。雨の多い夏の「満洲」は道がぬかるみ馬車の通行が不便で、むしろ厳しい冬こそ、物流の本格的なシーズンとなりました。凍結した大河・小河は、ロシア極東から東北大平原を経て渤海湾に至る氷の道となり、さまざまな物資を運ぶ馬車や橇(そり)が南へ北へと行き交ったといいます。農閑期の稼ぎに精を出す農民たちが、こうした冬の物流を担いました。

鉄道や高速道路網が発達した今では、かつて賑わいをみせた氷の道は静まりかえっています。
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夜明け前の清掃労働者たち [中国東北・雑記]

午前4時の長春市内。気温は氷点下6度。昨日から雪が激しく降り続けています。窓の外を眺めると、たくさんの清掃労働者が幹線道路の除雪作業を続けています。厳寒の夜、凍えながら黙々とスコップを握る彼らの存在がなければ、冬の中国東北部の都市機能はたちまち麻痺してしまうでしょう。実に頭が下がる思いです。
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タグ:中国 長春

中国・東北地方の激烈な大気汚染 [中国東北・雑記]

ここ数日間、長春市内は史上最悪の大気汚染で大騒ぎとなりました。先週来、市内は火事場の煙が一日中立ちこめているような状況で、日が暮れるとこの煙に街灯や車のライトが乱反射するという、不気味な光景が現れます。

今年の年初に起きた大気汚染騒動以来、天気予報と同じように大気汚染情報をネットでチェックするのが日課になってしまいました。今日はマスクが必要か、街歩きしても大丈夫かを、それによって判断するわけです。大気汚染度のレベルは、「優」「良」「軽度の汚染」「中程度の汚染」「重度の汚染」「深刻な汚染」という6段階ありますが、先週から「中程度の汚染」と「重度の汚染」とを行ったり来たりという状態で、私も街歩きをなるべく控えてきました。

それが21日から状況はさらに悪化、中国東北地方の各都市は「深刻な汚染」レベルとなりました。21日午後1時の長春市内のPM2.5 の値は457μg/㎥(日本での「不要不急の外出を避ける」暫定基準値は85μg/㎥)、22日の午前10時には692μg/㎥に達しました。晴れて太陽は出ているのに、濃い霧がかかっているかのような状況です。大気汚染指標のAQIは値が300を超えると「深刻な汚染」レベルに達しますが、21日から23日にかけて長春市内は観測限界値の500を超えて測定不能になってしまったという、猛烈な汚染。報道によれば、東北地方各地の汚染は過去最悪を記録したそうです。長春市内の病院では呼吸器疾患の患者が20%増加したという報道もありました。
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【写真は21日午後3時過ぎの長春市内。太陽の光も弱々しく、まるで月のようです】

長春では先週から全市の暖房システム(市の暖房会社がパイプラインで湯を各建物に供給する)が起動し石炭が焚かれ始め、加えて少雨・無風などの気象条件が重なるなどして、ひどい汚染現象が起きたと、市の環境当局は説明しています。

中国の急速な経済成長は社会にさまざまな問題を引き起こしていますが、大気汚染もその一つです。経済成長に伴い中国でも拡大してきた中所得階層の市民たちは、特に健康問題には敏感で、自身と家族の健康に直結する大気汚染の改善を強く訴えはじめています。すでに北京市では、車の通行規制など緊急の大気汚染対策が最近始まりましたが、それも市民の間に高まる不満が政府に向けられるのを恐れてのことでしょう。他方、環境規制の強化は、すでに減速傾向にある中国の経済成長をさらに鈍らせる恐れもあります。現政権が民衆の支持を調達するには経済成長の持続が不可欠である一方、経済成長に伴う諸問題が今度は民衆の反感を高めつつあるという矛盾の中で、政権は困難な舵取りを迫られているわけです。

23日の朝から降り始めた雨のおかげで、汚染物質もかなり洗い流されたらしく、ようやく大気汚染指標の数値も落ち着いてきています。とはいえ、市民の間に蓄積しつつある不満のほうは、そう簡単に洗い流されるものではないでしょう。

北朝鮮との国境の町・集安 [中国東北・雑記]

先週末、吉林省の南端にある集安市に行ってきました。鴨緑江に面し、北朝鮮の山々と向かい合う国境の町です。
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同じ省内とはいえ、私の住む省都の長春から南へ四百数十キロ。東京から岐阜くらいの距離です。トウモロコシ畑が果てしなく続く大地を車でひたすら走ること6時間、吉林南部の亜寒帯原生林が鬱蒼と生い茂る山々を縫う細道を通り抜けたところに、集安市はあります。

集安は古来、朝鮮半島と東北(満洲)大平原とを結ぶ交通の要所で、紀元1世紀から5世紀まで高句麗の都城として繁栄しました(丸都城・国内城)。日本でも有名な好太王碑(広開土王碑)もここにあり、北朝鮮の山々を望む小高い丘の上に建っています。高句麗王族の墳墓も市内に点在し、これら高句麗の遺跡群は北朝鮮側の遺跡とともに2004年、世界遺産に登録されました。
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高句麗滅亡後、この地を支配する王朝は唐・渤海・遼・金・元・明・清と移り変わりましたが、集安は交通の要衝であり続け、重要な役割を担ってきました。そして20世紀に入り、1910年の韓国併合と1932年の「満洲国」建国によってこの地域を手中に収めた日本は、満洲と朝鮮を結ぶルートの一つとして鴨緑江を跨ぐ橋を集安に建設し、1939年鉄道を開通させました。この鉄道は今も中国・北朝鮮間の輸送に利用されています(故・金正日総書記も鉄道での訪中の際、ここを何度か通過しています)。

鴨緑江の対岸は北朝鮮。川幅は数十メートルに過ぎず、目と鼻の先です。目を凝らすと、農作業をしている北朝鮮の人びとの姿も見えます。北朝鮮側の山々の大部分は木が伐り尽くされ、はげあがっているのが目立ちます。不足する燃料の確保のため、あるいは食糧増産のために山の木々が伐採されたのだ、とも聞きました。鬱蒼とした緑に覆われた中国側の山々と、何とも不自然な対照をなしています。
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