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結氷した伊通河――ロシア極東まで続く氷の道 [中国東北・雑記]

日中でもマイナス10度の寒さが続く長春。市街を南北に貫く伊通河が凍結し始めました。

伊通河は満州語でyitu ula と言い、波濤逆巻く大河、という意味だそうです。この川は吉林省中部の哈達嶺に源を発し、北流して長春を経て松花江と合流、黒竜江省との境で流れを北東に変え、東北大平原を貫きハルビン、ジャムスを経てロシアとの国境でアムール川と合流します。

つまり長春はアムール川流域に属し、ここに降った雨は伊通河→松花江→アムール川と流れ、最終的にロシア・ハバロフスク地方のオホーツク海へと注ぎ込むわけです。想像するだけでも、そのスケールの大きさに圧倒されます。事実、アムール川は世界屈指の大河で、その流域面積は長江(揚子江)よりもさらに大きいのです。

鉄道網が発達する以前、東北大平原の物流の大動脈は河川交通でした。雨の多い夏の「満洲」は道がぬかるみ馬車の通行が不便で、むしろ厳しい冬こそ、物流の本格的なシーズンとなりました。凍結した大河・小河は、ロシア極東から東北大平原を経て渤海湾に至る氷の道となり、さまざまな物資を運ぶ馬車や橇(そり)が南へ北へと行き交ったといいます。農閑期の稼ぎに精を出す農民たちが、こうした冬の物流を担いました。

鉄道や高速道路網が発達した今では、かつて賑わいをみせた氷の道は静まりかえっています。
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長春だより

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